8月8日のメルマガ「ネット未来地図レポート」は、新しいSNSであるGoogle+がいったい何を生みだそうとしているのか。その秘密と可能性について、「情報発信と情報受信の非対称性」という概念を使って解き明かしています。
以下は本文の抜粋から
Google+を、他のソーシャルメディアと比較してみましょう。私は以前、「ブログは講演会場。みんなが自分の意見を聞いてくれている。これに対してTwitterはパーティ会場。みんながそれぞれの場所で三々五々集まって、立ち話をしている」と説明したことがありました。さらにいえばFacebookは大学のサークルの部室の掲示板(ウォール)といえるかもしれません。
しかしGoogle+は、こうした実社会の比喩で考えるのは非常に難しい。なぜなら情報発信と受信の非対称性というリアルの世界にはほとんど存在していない感覚を持ち込んできているからです。
もう少し文章で説明してみましょう。発信/受信のフィルタリングというポイントに注目すると、3つのSNSには次のような違いがあります。
Facebook 情報の発信者と受信者はフラットな「友だち」の関係。だから発信者が友だちとして承諾してくれないと、受信者は発信者の書き込みは読めない。
Twitter 情報の発信者に承諾を得る必要はなく、受信者は発信者を勝手にフォローすればその人の情報はすべて読める。
Google+ Twitterと同じように受信者は発信者を勝手にフォローできて、Facebookのように承認は必要ない。でも発信者が自分あてにも情報を発信してくれるかどうかは、受信者には保証されてない。
Facebookは今春に公開された実録映画『ソーシャルネットワーク』でもつぶさに描かれていたように、もともとCEOのマーク・ザッカーバーグがハーバード大学在学中に作ったSNSで、大学内の人間関係をそのままネット上に転写させることを最初の目的としていました。だからあくまでも、友人や知人とのつながりを確認し、仲間うちでの情報のやりとりを主眼とするSNSとなっています。
これに対してTwitterは、もっとオープンです。Twitterが画期的だったのは、140文字という短い文字数でのやりとりを生み出したことだけでなく、もうひとつあります。それはフォローとフォロワーという非対称の関係性を持ち込んだこと。フォローは勝手に行えるので、相手から承認を受ける必要はないというこの非対称な関係は、情報流通にはうってつけの特質でした。
なぜなら、そもそもリアルの世界においては、情報の流通は非対称でオープンであるからです。マスメディアや有識者、言論人、有名タレント、あるいはさまざまな専門家など、情報はつねに影響力の強い存在からその他おおぜいの人へと流れていきます。しかもそれは閉鎖的な圏域の中ではなく、誰にでも触れられるオープンな空間に開かれています。
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