8月15日のメルマガ「ネット未来地図レポート」は、ソーシャルメディアを「アソシエーション」「場」、そして「フィード」「クラスタ」というふたつの軸で分類し、全体像をすっきりと可視化する試みをしています。その前編。
以下は本文の抜粋から
まずソーシャルメディアを「友愛に基づくアソシエーション」と「単なる場」のふたつに分類してみます。
前者は、サークルや同業者の寄り合い、趣味の集まりなど、実社会でも行われている活動を、そのままネットにも転写したものです。集まる目的はみなが明確に共有していて、そこにはなにがしかの「友愛」のようなものがあります。哲学者のカントは「他者の人格を手段としてだけ扱うのではなく、目的として扱わなければならない」という有名なことばを述べていますが、そのようにつながる自分と他者との間には、友愛の感情が生じて来ると言うことです。
たとえ自分が「この業界内で有名になりたい」とか「もっとお金持ちになりたい」と思ってそうした寄り合いやサークルに参加しているのだとしても、しかしせっかくそこで新たな友人たちとつながることができたのだから、彼らとつながったこと自体も大切にしていこうというのが、このカントの考えですね。
そしてこのような友愛が存在するソーシャルメディアのコミュニティは、ネットでつながっただけのバーチャルな集まりであっても、「互いが互いとつながっている」「相手のことを大切にしたいと思っている」というアソシエーション的な求心力を強く持つことになるでしょう。
こうしたアソシエーション的なソーシャルメディアとしては、フェイスブックのグループ機能やミクシィのコミュ機能などが典型です。かつて流行したパソコン通信も、きわめて求心力が強いアソシエーション的なメディアでした。もちろん友愛のコミュニティといっても荒らしのようなものはあるし、罵りあいも時として起きます。しかし一方で、必ずそれをとどめようとする人物が参加者の中から現れ、自浄作用を働かせようという引力がつねに強く働く。そういう求心力のあるメディアが、「友愛に基づくアソシエーション」の本質なのです。
フェイスブックのフレンド同士の関係はどうでしょうか。同じように友愛があって求心力がそこに存在するけれども、フェイスブック・グループやミクシィのコミュ、パソコン通信といったメディアとは性格がちょっと異なっています。なぜならフレンド同士の関係は、グループやコミュのような「集団」ではないからです。単にその「つながり」が次々と連鎖していって全体として多くの人があちこちでつながるという結果になっているだけで、最初から集団を形成しているわけではありません。
だからフレンドはコミュニティというよりは、単なる「関係」にすぎない。ごく省略して言ってしまえば、フェイスブックのフレンド同士はアソシエーションではないけれども、とてもアソシエーション的なつながりを帯びた「関係」であるということができるような気もします。
この「関係のアソシエーション」については、後でもう一度戻ってきます。
さてソーシャルメディアには、まったく違う方向のメディアもあります。それが「単なる場」としてのソーシャルメディア。いま説明してきたような友愛的求心力をほとんど持っていない、つまりアソシエーション的要素の乏しいメディアの一群です。たとえば2ちゃんねるやツイッター、ブログのコメント欄でのやりとりが典型でしょう。
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