4月30日配信の有料メルマガは「国産ビッグデータビジネスが躍進できない理由」と題して、ネットのプライバシー問題について解説しています。ビッグデータビジネスの大半がライフログという顧客の行動履歴がらみのものであり、プライバシー問題とぶつかるものです。そもそも「プライバシー」とはなんなのでしょう。
以下は本文の抜粋から
最近、インターネットとプライバシーの対立について書かれる記事があちこちで見られるようになってきました。Web2.0が言われるようになった2000年代半ば以降、ネットは徐々にパーソナライズされ、自分の生活(ライフログ)や関係(ソーシャルグラフ)を可視化させてしまうメディアとして進化してきています。普及していけば普及していくほどに、進化すれば進化していくほどに、プライバシーの問題とぶつかってくるのは当然の帰結です。今回は、この問題をどう読み解き、どのような方向性を見ていけばいいのかということを解説したいと思います。
■続グーグルの新プライバシー規定をめぐる混乱 ビック・データという新ゴールドラッシュ(前編)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31958
典型的なのは、上記の小池良次さんの記事で書かれていたグーグルのプライバシーポリシー変更に関する騒動でしょう。くわしくはリンク先を読んでいただければと思いますが、ここに出てくるビッグデータという言葉が最近はすっかりIT分野の流行語になっていて、大手もさかんに「これからはビッグデータの時代」といったキャッチフレーズを繰り出してきています。たとえば総務省で私が出席している委員会でも、今後の日本のIT戦略について「データを利活用して課題解決や新たな価値創造が可能な環境を」「多種多様のデータをリアルタイムに収集・伝送・解析し、問題を解決に」「新たなデータ活用ビジネスを創出」といった文言が資料に溢れています。
とはいえ、この分野が簡単に日本の業界で離陸するのかといえば、実は非常にたくさんの困難が横たわっているのが現実です。そのもっとも大きな問題は、ビッグデータの中に含まれるプライバシーデータの取扱いでしょう。たとえば先ほどの総務省の委員会資料でいえば、ビッグデータがらみの新規ビジネスの例として次のようなものが挙げられています。
「レシピ投稿サイトに蓄積された検索ログをデータベース化し、食品メーカーにマーケティングデータとして販売」
「携帯電話のGPS機能で得られた現在地データとライフログを照合し、適切なレコメンデーション」
「ECサイトに蓄積された検索履歴を解析し、顧客ごとにカスタマイズされた商品のレコメンデーション」
「小売店にモーションセンサを設置し、顧客が手を伸ばす動作を記録する」
このリストを見ていただければ、ビッグデータのビジネスの大半がライフログという顧客の行動履歴がらみのものであり、もろにプライバシーとぶつかるものばかりであることが理解していただけるのではないかと思います。
ただしここで考えなければならないのは、プライバシーの問題には2つあるということです。
(1)そのサービスが個人情報保護法に抵触しているかどうか。
(2)そのサービスが「プライバシーを侵している」と感じられるような気持ち悪いものかどうか。
(1)と(2)は排他の関係ではなく、交わりの関係です。個人情報保護法に抵触し、感覚的にも気持ち悪いサービスもありますし、法にはなんら触れていないけれども「気持ち悪いからやめてくれー」というようなものもあります。たとえば先ほどの総務省の4つの事例で言えば、最後の「小売店にモーションセンサを設置し、顧客が手を伸ばす動作を記録する」はどうでしょうか。
(以下はメルマガ本文で!)
他にもコンテンツ満載!
■今週のライフハック
Dropboxがものすごく簡単なファイル共有機能をリリース
オンラインストレージサービスのDropBoxを使って、簡単に巨大ファイルやフォルダを知人や仕事先と共有できる方法がリリースされました。これすごく簡単です。
■今週の注目記事
出版はボタンにすぎない?
アメリカのIT系論客、クレイ・シャーキーの「出版はいまやボタンにすぎない」という言葉が紹介されています。WordPressやKDPなどで「発行する(publish)」というボタンを押せば、それで終りということです。
これだけを読むと、「また出版社不要論か!」と色めき立つ人もいるでしょう。しかしこのような出版の簡易化が、必ずしもパブリッシャーやエディターの仕事がなくなるというわけではありません。
■今週のキュレーション
今週ツイッターで紹介した記事の中から「これは読むべき!」を厳選して紹介しています。
今週のメルマガは全部で1万5000文字あります。
お申し込み方法は二つあります。PayPalでの決済をご希望の方は佐々木俊尚公式サイトへ。またまぐまぐでの購読をご希望の方は、こちらのページへ。
以下は本文の抜粋から
最近、インターネットとプライバシーの対立について書かれる記事があちこちで見られるようになってきました。Web2.0が言われるようになった2000年代半ば以降、ネットは徐々にパーソナライズされ、自分の生活(ライフログ)や関係(ソーシャルグラフ)を可視化させてしまうメディアとして進化してきています。普及していけば普及していくほどに、進化すれば進化していくほどに、プライバシーの問題とぶつかってくるのは当然の帰結です。今回は、この問題をどう読み解き、どのような方向性を見ていけばいいのかということを解説したいと思います。
■続グーグルの新プライバシー規定をめぐる混乱 ビック・データという新ゴールドラッシュ(前編)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31958
典型的なのは、上記の小池良次さんの記事で書かれていたグーグルのプライバシーポリシー変更に関する騒動でしょう。くわしくはリンク先を読んでいただければと思いますが、ここに出てくるビッグデータという言葉が最近はすっかりIT分野の流行語になっていて、大手もさかんに「これからはビッグデータの時代」といったキャッチフレーズを繰り出してきています。たとえば総務省で私が出席している委員会でも、今後の日本のIT戦略について「データを利活用して課題解決や新たな価値創造が可能な環境を」「多種多様のデータをリアルタイムに収集・伝送・解析し、問題を解決に」「新たなデータ活用ビジネスを創出」といった文言が資料に溢れています。
とはいえ、この分野が簡単に日本の業界で離陸するのかといえば、実は非常にたくさんの困難が横たわっているのが現実です。そのもっとも大きな問題は、ビッグデータの中に含まれるプライバシーデータの取扱いでしょう。たとえば先ほどの総務省の委員会資料でいえば、ビッグデータがらみの新規ビジネスの例として次のようなものが挙げられています。
「レシピ投稿サイトに蓄積された検索ログをデータベース化し、食品メーカーにマーケティングデータとして販売」
「携帯電話のGPS機能で得られた現在地データとライフログを照合し、適切なレコメンデーション」
「ECサイトに蓄積された検索履歴を解析し、顧客ごとにカスタマイズされた商品のレコメンデーション」
「小売店にモーションセンサを設置し、顧客が手を伸ばす動作を記録する」
このリストを見ていただければ、ビッグデータのビジネスの大半がライフログという顧客の行動履歴がらみのものであり、もろにプライバシーとぶつかるものばかりであることが理解していただけるのではないかと思います。
ただしここで考えなければならないのは、プライバシーの問題には2つあるということです。
(1)そのサービスが個人情報保護法に抵触しているかどうか。
(2)そのサービスが「プライバシーを侵している」と感じられるような気持ち悪いものかどうか。
(1)と(2)は排他の関係ではなく、交わりの関係です。個人情報保護法に抵触し、感覚的にも気持ち悪いサービスもありますし、法にはなんら触れていないけれども「気持ち悪いからやめてくれー」というようなものもあります。たとえば先ほどの総務省の4つの事例で言えば、最後の「小売店にモーションセンサを設置し、顧客が手を伸ばす動作を記録する」はどうでしょうか。
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これだけを読むと、「また出版社不要論か!」と色めき立つ人もいるでしょう。しかしこのような出版の簡易化が、必ずしもパブリッシャーやエディターの仕事がなくなるというわけではありません。
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