3月19日配信の有料メルマガは「スマートテレビってそもそも何だろう」の中編。「テレビの『ハードとソフトの融合』の意味をきちんと押さえる」と題して、クラウドとマルチデバイスへと進んでいく今後テレビの中核ビジネスが、どうなるのかをくわしく解説しています。
(以下は本文の一部抜粋から)
今後のテレビのキーワードは、「クラウド」と「マルチデバイス」です。
これは実のところテレビだけでなく、スマートフォンなどデバイス全体の潮流と言っていいでしょう。たとえばスマートフォンは、今後ネイティブアプリからクラウドへと進んでいくと言われています。
いずれにしても今のウェブの世界は、クラウド化に向けたこのような構図が実現しつつあるのです。そしてこの構図に呑み込まれるフィールドはどんどん拡大しており、今年からそれがテレビの世界にまで押し寄せてこようとしているということなのです。この新しい構図によってチャネルごとに統合された世界は終わり、水平分業化するレイヤーへと変容していくでしょう。
かつてソニーは、「ハードとソフトの融合」を提唱しました。この理念に基づいて映画会社やレコード会社を積極的に買収したのです。しかしソニーの最大の勘違い(と後付けで批判するのはちょっと言い過ぎかもしれませんが)は、この「ソフト」を映画や音楽などのコンテンツだと勘違いしたことでしょう。
本当に必要な「ソフト」とはコンテンツではなく、ハードとコンテンツの「間」にはさまっているKindleStoreやiTunesのような配信プラットフォームであるのは間違いありません。それは私が先週から縷々説明してきたとおりです。
もちろん、コンテンツはとても重要です。素晴らしい番組や映画、音楽、書籍がなければコンテンツのビジネスはもともと成り立ちません。しかしコンテンツを作る者がメディアビジネスを制するのかといえば、実はそうではありません。最も支配力を持つのは放送局や制作会社でなければ、ミュージシャンや映画監督や作家などのコンテンツ制作者個人でもなく、かといってソニーやパナソニックのような機器メーカーでもないのです。最も重要なのは、ハードとソフトの「間」に入り、コンテンツをテレビやタブレットなどの機器に乗せて見てもらうための配信プラットフォームなのです。
ではこの配信プラットフォームで最も重要な要素は何でしょうか。それはインタフェイスです。
音楽と電子書籍のビジネスを寡占支配しているアップルとアマゾンはこれが圧倒的に強力です。アップルはiPhoneなどのデバイスで、音楽というソフトを聞くための流通システムとしてiTunesを作り、これが実に使いやすくできあがっていました。iTunesによって、ハードとソフトが気持ちいいほどに連携してくれる感覚を消費者に提供したといえます。
アマゾンも同様。Kindleストアで書籍を購入すると、パソコンやスマートフォン、タブレットなどのありとあらゆるハード上で自分が買った書籍を自由に読むことができるというのは先に書いたとおりです。
ユーザー目線で使いやすいインタフェイスを追及する。
なめらかにハードとソフトが連携している。
ガチガチのDRM(著作権管理)で固めてかえって使いづらいしまうのではなく、DRMを少しゆるめて使いやすさを優先する。
そういうアプローチが、この「ハードとソフトの間」をうまく動かす真髄なのです。そして残念なことに、いまの日本は家電メーカーにしろ、コンテンツ側の出版社や放送局にしろ、メディアに関わるプレイヤーがこの「間」を作るのが決定的に下手といわざるをえません。日本のテレビ受像機は液晶画面は素晴らしく美しく、外観のデザインも良いのに、いざ操作しようとしてみると恐ろしく使いづらいのです。メニュー構造がどうなっているのかさっぱりわからず、目的のメニューにまで行き着けないことが少なくありません。またコンテンツ側は著作権管理に気を取られすぎていて、ユーザーの使いやすさまで目を配ることができていません。
■今週のライフハック
アウトドアグッズで災害にそなえよう(1)
(一部抜粋)
この製品はまだ発売されていないようですが、モンベルは「シェルター」というジャンルの登山グッズを販売しています。
これはツェルトの一種です。ツェルトというのは日本語で言えば「簡易テント」「非常用テント」で、要するに普通のテントよりはずっと簡易だけれども軽量で、日帰りの登山やアタックの際にリュックサックに入れておく非常用品です。自立しない(木に吊したり、ポールを立てて固定したりして使う)ものが多いのですが、モンベルの「シェルター」は普通のドーム型テントと同じように柔軟なポールを2本使って自立させることができます。
■今週の注目記事
オウンドメディアとソーシャルメディアはどう使い分ける?
(一部抜粋)
そもそもFacebookやTwitterのようなフィード型のソーシャルメディアは、個人と個人がつながるメディアです。そこではマス的な発信は難しいし、また関係性は網の目のようなソーシャルグラフになっていて、コミュニティの「広場」も形成しません。だからこの「個対個」のフィード型メディアに企業が入り込もうとすれば、徹底的に個のアカウントであることを打ち出すしかありません。つまりは良くTwitter公式アカウントの成功例でいわれているような、NHK広報やカトキチのようなケースです。
担当者がここまで「個」を打ち出しても社内で批判されないような会社の支援体制と度量があってこそ、このような手法は成り立つのであって、いまの日本企業でこれができるところはかなり少ないと思います。
それで結局は広告代理店にお任せでFacebookページを立ち上げ、マスマーケ的に展開しようという話になってしまうわけです。しかしFacebookで「いいね!」されても、それはほとんど購買行動には繋がってないという調査結果もあります。企業の無味乾燥なリリース文みたいなのが友人のフィードに混じって流れてきても、大半の人は興味を持たないのです。
■今週のキュレーション
今週ツイッターで紹介した記事の中から「これは読むべき!」を厳選して紹介しています。
今週のメルマガは全部で1万5000文字あります。
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